Thanks OSSチーム チームリーダーの飯塚です。
タイトルの通りですがこの度、Thanks OSS Award というサイトをついに公開できたのでその紹介です。
Thanks OSS Award とは
Thanks OSS Award とは私達の製品開発で使用しているライブラリ/ツールなどにおいて、 年度単位で選出した開発者の方々にその開発の継続を金銭的に支援しましょうという活動です。
上記サイトに詳細は書かれていますが、この活動のポイントは「継続」です。 新規機能の追加や問い合わせサポートではなく、今までやっていた開発を今後も同じように継続してもらうことを目的とした支援になっています。
よって見返りを求めるための支援でないことは予めご承知おきください。
私自身、業務外にてOSSを開発している身ですが、様々な要因で継続することの大変さを実感しています。 特に子どもが生まれたことにより自由時間が大きく減ったことで、アウトプットの速度は大きく下がりました。 それでも朝早くに起きて、子どもが寝ている時間を開発に当てるなどして継続できているのは「楽しい」という気持ちだけではなく、 スポンサーとして応援してくれている方々の存在がモチベーション維持に少なからず影響しているためだと感じています。
OSSは私達の製品を形作る重要なピース。 そのピースを作ってくれている方々のモチベーション維持に少しでも貢献できればというのが OSSを使わせてもらっている私達の願いです。
究極の目標
活動の背景/目的、また実際の選考結果などはサイトの方にまとめてありますのでそちらを参照していただきたいですが、 2022年度の支援金額だけこちらでも紹介させてもらうと $63,150 になりました。
1ドル144円換算だと 9,093,600 円です。
決して安い金額ではありませんが、複数の開発者の方々に支援する金額としてはこれだけで生活できるレベルではありません。 そう、OSS開発者がその開発だけで生活できる未来を築けたらというのが私達が考える究極の目標です。
その目標には私達だけではたどり着けないかもしれません。 すでにOSS含め多方に支援されている企業もいますが、OSSを利用していてそこに支援している企業というのはまだ少ないのではないでしょうか?
多くの企業がそれぞれお世話になっているOSS開発者の方々を支援することでこの未来は近づいてくると思います。 そのときにこの Thanks OSS Award という活動が支援するきっかけの1つにでもなると嬉しいです。
活動裏話
元々OSSへの支援は以下のブログ記事で書いてあるとおり2020年から行ってきました。
その頃からの私達のOSSへの思いは変わっていませんが、「今後の予定」に書いていた通り支援対象は拡大したいという考えはありました。 その考えのもと Thanks OSS Award は今年04月頃から動き始めました。
支援したい方の選出は普段お世話になっている気持ちがあったのでそこまで難航しなかったのですが、 支援方法の確保で少し手間がかかったので裏話として紹介します。
GitHub Sponsors が有効でない
支援方法としては2020年から実際に行ってきた GitHub Sponsors をそのまま採用しました。 ただ支援した方の中には GitHub Sponsors が有効でない方もいたので、その方には直接コンタクトをとって有効にできないかという相談をさせてもらいました。
私自身 GitHub Sponsors を有効にしている身としては地味に面倒な申請があったことから(日本のみ?)、有効に難色を示されるかもと思っていたのですが 何回かのやりとりの上で色よい返事をもらえた方がいたことは純粋に嬉しかったです。
なお GitHub Sponsors がまだサポートしていない国であるために有効にできないという方がいたのも事実です。 その方は残念ながら今年度の対象からは除外となってしまったのですが、 将来 GitHub Sponsors がサポートした暁には改めて支援対象として追加したいと考えています。
GitHub Sponsors の任意金額の開放
GitHub Sponsors は支援のTier(コース)を決める必要があります。 なので一番単純なのは「$N/月」、「$M/月」などのコースから選んで支援する形となるのですが、 今回支援金額はこちらで決めたかったので、このような設定の方にも任意の金額が指定できるように設定変更を直接相談させてもらいました。
コンタクトをとる手段を探す手間は同様ですが、どう相談したらいいものかがとても悩ましかったです。 というのも「$Nくらい支援したいので設定変更してください」と見知らぬ人から急に連絡がきても怪しいだけだからです。
とはいえ相談したい内容はそのとおりなので、所属だけでなく個人のアカウントなども紹介した上で 極力怪しさを払拭して(したつもりになって)やりとりをすることで設定変更していただけたのかなと思っています。
最後に
動き始めてから約半年、ようやく形になりましたが、最初に書いたとおりサイト公開が目的ではなく私達が使っているライブラリ/ツールなどの開発継続の支援が目的です。 つまり Thanks OSS Award はまだ始まったばかりです。
来年度以降も継続して行われる活動であるので、これらを通してOSS開発者の方々のモチベーション維持に貢献できればと願っています。